スリランカの熱帯建築家・ジェフリーバワが40年以上にわたって大切に造り、愛着をもっていた別荘、ルヌガンガ(Lunuganga)。
そのルヌガンガはどんな場所?見学(庭園)と予約、宿泊情報などについてまとめました。
ルヌガンガとは?
ルヌガンガ(Lunuganga)は、1948年、ジェフリーバワ29才のときに購入した約6ヘクタールの土地に造った広大な庭園、バワの別荘です。
コロンボ市内の「№11(ナンバーイレブン」が仕事のために過ごしていた個人邸兼仕事場とすれば、ルヌガンガは、自分が週末を過ごすために作った理想郷。
設計の年代も1948年~98年と、40年以上の長い時間の造園、増改築を重ねてできあがり、バワの建築家としてのキャリア、ジェフリー・バワという人間が凝縮された場所です。
ルヌガンガは、ジェフリーバワが建築家となるきっかけになった場所でもあります。
土地の購入当初、法律家だったバワはルヌガンガを理想郷に作り上げようとしましたが、建築の知識がなかったために満足ゆくように進められなかったと言われます。
そのことをきっかけとして、知人の勧めもあり、バワは30才を過ぎてロンドンで建築を学び始めました。
ロンドンで建築を学んだ後、38歳のときにスリランカで建築家としてのキャリアをスタートしました。
▲「ザ・ハウス」と呼ばれるメイン・コテージ。バワはここで食事を取り、打合せをしました。ルヌガンガでは親しい人々だけを招いて過ごしたと伝えられます。
「ザ・ハウス」の内部。インテリアはバワのシンボルカラーの白と黒を基調として、長年かけてこだわりながら集められた一つ一つの家具、調度品には、バワの好みが反映されています。
ルヌガンガの見どころ、建築の特徴
ルヌガンガ最大の見どころは庭全体だと思います。
訪れたら、敷地内を是非一周してみるのがおすすめ(30分~1時間くらいかかります)。
広大な敷地の中に、世界各国から持ち帰ったアートが配されています。
若き日に憧れたイタリア、留学先だった英国のカントリーハウスの要素が取り入れられていて、バワがヨーロッパから受けた影響を見て取れます。
バワは数々のホテルや内装のアイディアを、まずは試作品にして自邸で試したと言われます。
そういうオブジェが小さいながらも随所にあるのも、一人の建築家、人間としてのジェフリー・バワを身近に感じられるのがよいですね。
いつも小鳥がさえずり、野生リスやオオトカゲ(イグアナ?)が動きまわる庭園。
「理想郷」と称される意味がピンときました。
バワはルヌガンガのいろいろな場所に「お気に入りスポット」を作ったそうです。
たとえば、陽が沈む夕方6時頃になると、湖をのぞみながらジントニックを飲むための石垣。
アフタヌーンティーを飲みながら、竹林からの風を感じる場所・・・。
週末のルヌガンガでは、それらの場所で刻々と変わっていく空気感や風景を楽しんでいたと言います。
なんというか、とても贅沢な過ごし方ですね。
建築やデザインのよいアイディアが生まれるためにも必要な場所、必要な時間だったのかもしれません。
敷地内には古びた鐘が所々ありました。
喉が渇いたときは、この鐘をならして使用人に冷たい飲み物をもってきてもらったといいます。
ザ・ガーデンズ・ハウス(見学のみ可能・宿泊不可)。
バワが世界中で収集した骨董品や小物が置かれています。
そのミックス感はまさに「ジェフリー・ワールド」。バワの趣向が濃く出ています。
バワさんは、生前の遺言に基づき、火葬され、ルヌガンガの見晴らしの良いシナモンヒルには眠ります。
いわゆるお墓ですが、仰々しい墓標のようなものはありません。
名誉、名声などよりも、自分のポリシーを大切にする人だったのですね。
紆余曲折がありながらも、悔いのない、満足の人生を歩んだ建築家なのだな・・・
と思いました。
ルヌガンガの部屋タイプ、種類
ルヌガンガの全体図 ▲ Click to enlarge
グラスルーム(Glass Room)
その名のとおり、部屋の側面がガラス(Glass)で覆われ、日中は自然光が差し込み、明るく開放感のある部屋。シングルベッドが一つ(約30㎡)。
ヘリタンスカンダラマホテル6階の「カンチャナ・レストラン」の内装のもとになったと言われる部屋。
部屋の両側が一面ガラス。カーテンを閉めることもできます。
ゲートハウス スイート(Gate House Suite)
ルヌガンガの入口近くにあるため、ゲート(Gate=門)ハウスと呼ばれています。ダブルベッドが一つ。
かつてバワの建築アシスタントが住んでいた場所で、個性的な内装や家具です。実際に人が住んでいた部屋ということもあり、心地よさのある部屋です。
寝具、ベッドカバーやクッションもストライプが中心。
ギャラリールーム(Gallery Room)
バワの美術品コレクションを保管、展示していた部屋です。ダブルベッドが一つ。
ギャラリーとして利用していた部屋のため、宿泊用としての使い勝手はさほどでありませんが、部屋の広さは一番です(別室の地下ギャラリーを除いて60㎡程度)。
現在も美術品が部屋に配され、別室のリビングが連結され、ギャラリーに泊まっているような気分になる部屋です。
ギャラリールームの地下へ続く別室。リビングスペースとしても利用できる部屋。
新しい素材と古い素材をミックスしたジェフリーバワらしい場所。
ゲストルームスイート(Guest Room Suite)
メインコテージの内部。バワが友人たちを招いた際の客室として使われていた部屋。メイン・コテージ「ザ・ハウス」の内部、一画にあります。
ダブルベッドが一つ。バワのシンボルカラーである「白と黒」を基調とした部屋に、バワのセンスが光る家具や調度品が置かれています(約40㎡)。
▲出典(Photo Source) Geoffrey Bawa Trust▼
来客用にしつらえた部屋だけあり、快適性が高い部屋。
シナモンヒルハウス ルーム(Rooms in Cinnamon Hill House)2部屋
ルヌガンガのメインハウス(ザ・ハウス)から徒歩6~7分。この棟だけ少し離れた場所にあります。
かつてのシナモンを栽培していた丘の上にあるため、シナモンヒルと呼ばれます。
建物内部で2部屋がオープンスペースで繋がっている部屋(各部屋が隔離されておらず中で連結)。
ヘリタンス・カンダラマやジェットウィング・ライトハウスの試作として作った家具、調度品が残ります。
▲出典(Photo Source) Geoffrey Bawa Trust
ゴールのジェットウィング・ライトハウスホテルと同じ黄色の壁が印象的。シャワールームも個性的です。
シナモンヒルズ2部屋の屋根付きの共有スペース(屋外)。電灯のデザインはバワ設計のいくつかのホテルでも見ることができます。(試作)
ルヌガンガの入場や見学情報
ルヌガンガはジェフリーバワ財団(Geoffrey Bawa Trust)が管理しています。
特別な日を除き、原則は毎日午前9時30分、午後14時の2回、ヌルガンガ庭園部分が開放され、スタッフによる約1時間のガーデンツアー(庭園見学するツアー・英語)も実施されています。
入場見学料は1500スリランカ・ルピー(日本円で約1000円程度)
見学ツアーは団体で特別予約をしていないかぎり、他の一般外国人観光客と合同となります。
※施設側の都合により、開閉館、料金、見学方法は予告なく変わることがあります。また、催事や他の団体の予約状況で急遽中止となることもあるかもしれません。
実際の訪問、予約にあたっては公式サイト等で最新情報をご確認の上、お出かけ下さい。
ルヌガンガでは、バワがいた当時のスタッフが現在も働いており、バワが住んでいた時と同じレシピで作られた料理も楽しみの一つ。
決して豪華とは言えないものの、スリランカの家庭料理のような美味しさのあるルヌガンガの食事でした。
ルヌガンガでの宿泊
ヌルガンガでは宿泊も可能です。
バワの個人宅として作られ、実験的なデザインを試す場でもありました。
各部屋のサイズや仕様や内装はすべて異なり、それぞれに特徴的。
宿泊施設としてでなく、個人の別荘として造られてきたため、設備や使い勝手、快適性はあまり良いとは言えず、テレビ、ミニバー、WIFIなどはありません。
ホテルのような洗練されたサービスや便利さは期待できませんが、バワの暮らしの一部を追体験し、バワをより身近に感じるには良い場所でしょう。
部屋数(最大6部屋)が少なく、修復で一部の部屋が利用できない場合もあるため、予約はかなり前から埋まっていることも多いようです。
AgodaやBooking.comなど、一部のホテル予約サイトでは取り扱いがあります。
※2021年現在、新型コロナ禍により取り扱いが流動的
≫ Booking.comでルヌガンガを見る
(世界最大のホテル予約専用サイト)
≫ Agodaでルヌガンガを見る
(アジア方面に強いホテル予約サイト)
≫ ジェフリーバワ財団へ直接予約(英語)
Booking.comでは、カテゴリーの表記が実際の部屋名と異なり、少しわかりずらいかもしれません。
ルヌガンガへ問合せたところ、原則、下記のように割り当てていると回答がありました。参考にどうぞ。
[1] Double roomの中で一番安い料金 - Cinnamon Hill Room 1
[2] Double roomの中で二番目に安い料金 - Glass Room
[3] Double roomの中で一番安い料金 - Cinnamon Hill Room 2 ( Cinnamon Hill Room 1の隣)
[4] Deluxe Double room - Guest Suite
[5] Double roomの中で一番高い料金の部屋 - Gate House Suite
[6] Suite room - Gallery Suite
※Booking.com経由で予約した場合、実際に予約されている部屋が希望と異なるリスクを避けるため、予約後に直接、ルヌガンガへリコンファームするのをおすすめします。
ルヌガンガの場所、行き方、アクセス
ベントータ近郊、内陸地の奥まった場所にあり、路線バス等の公共交通では行けません。
大型バスは通行できない道幅のため、スリーウィラー(三輪自動車、現地でのタクシーみたいもの)などの小型車で行く方法となります。
▲ルヌガンガの少し手前の道
よろしければ、こちらの記事もどうぞ。