スリランカの熱帯建築家、ジェフリーバワのコロンボ市内の自宅兼事務所だった「ナンバーイレブン(№11)」。
スリランカで人気のバワ建築ホテルだけでなく、バワに関心がある人にとっては必見の場所と言えます。
ナンバー・イレブンについてまとめてご紹介!
ジェフリーバワの自宅:ナンバーイレブン(№11)とは?
スリランカの中心都市、コロンボにあるジェフリー・バワの自邸兼仕事場です。
コロンボ市、バガタレ・ロード33通り11番地にある番地に由来し、「ナンバー11(イレブン)」と呼ばれています。
ジェフリーバワ(1919年-2003年)の生前のまま残しており、現在、ジェフリーバワ財団(Geoffrey Bawa Trust)の本部もナンバー11に置かれています。
バワはもともと「4軒並びだった家」を1959年に最初の一軒を借りました。
その後、10年かけて4棟すべてを入手。
それらの増改築して内部をつなげ、約30年かけて現在の姿となりました。
(建物全体が奥に細長いのは4軒の家を繋げたためです)
リビングや寝室のほか、旅での収集品、アート作品やタンティーク、ホテルで使用した椅子やテーブルなどの試作品が当時のまま保存されています。
バワが愛着と持ち、長い時間を過ごした住処であり、ジェフリー・バワを身近に感じられます。
また、バワのホテルや建築の見学を目的にスリランカへ訪れた人にとっては、集大成的な見学とも言えます。
現在、ナンバーイレブンでは見学と宿泊が可能です。
しかし、財団の都合により予告なく修復に入り、突如、見学や宿泊ができなったケースがあるようです。
客商売とは異なる非営利団体なので、致し方ないですね。
ナンバーイレブンの内部、インテリア内装
時間になるとスタッフが建物から出てきて、建物内部へ案内され、しばらく待機。
ツアーのはじめに小さな部屋で7~8分のビデオをみた後、スタッフが建物内の案内を開始。
建物の奥の方は平屋でバワの生活空間。リビングルーム、バワが亡くなった当時のままの寝室などを見学。
入口に近い部分は3階建て。その一部が、現在、宿泊スペース(2部屋)として利用されています。
たまたま宿泊者が外出中だったため、宿泊エリアの一部、共有スペースを見せてもらうことができました(ベッドルームは不可)。
ナンバー11の見どころは、バワの生活を感じられるリビングや寝室以外に、バワが時間をかけて集めたアンティークや家具調度品。
配置された品々から、ジェフリー・バワという人間を感じ取れました。
全体図(横からと上から)。右側が入口の方向です。▲click to enlarge
建物の入口、玄関のドア。ジェフリー・バワ御用達の芸術家ラキ・セナナヤケ作による古代の太陽神をモチーフとしたデザイン。
ラキ・セナナヤケの描いた装飾はヘリタンス・アフンガラ、ヘリタンス・カンダラマなど、ジェフリーバワを代表するホテルでも度々目にします。
神話や神様のモチーフとしたインテリアはバワ建築の中では少し珍しいものです。
ラキの作品はバワの基本デザインを引き立てるスパイスのような効果があるようです。
バワの愛車ロールス・ロイス。来客用の玄関スペース。ヴィンテージ車。
バワは、もともとお金持ちの子息だったからこそ、海外留学や旅行で見聞を広められたと言えます。
建物内部へ入った玄関部分。
この鉄の椅子はヘリタンスカンダラマのロビーでも見られます。
まずは自宅に配置して、試していたと言われます。
回廊部分(建物内部から入口側を見る)。
左側の坪庭が涼しげ。光の入り方が美しく、白い壁が引き立っています。
少し年季のはいったランプ。
バワの建物では、すべてのオブジェがおしゃれに見えてきそうです。
ラキ・セナナヤケ作のフクロウのオブジェ。
ヘリタンス・カンダラマにも大きなフクロウのオブジェがありますが、大きさはこの100倍以上くらいです。
参考記事:ヘリタンスカンダラマホテルとは?
ジェフリーバワの友人、ドナルド・フレンド作のドアの壁画。
ドナルド・フレンドはジェフリー・バワの兄、ベヴィスの同性愛の恋人でした。
別の坪庭(つぼにわ)。
馬の頭のオブジェ。太い木の柱はアジアの寺院のよく見かける形状を連想させます。
インテリアに異質なものが混在して、不思議な世界を作り出しています。
ジェフリー・バワのご両親は、ともにスリランカとヨーロッパの混血。
スリランカ伝統とヨーロッパ文化の影響が見事に融合した、独特の世界。
屋上庭園ドアの手すり。再び、このオブジェどこかで見た!!
ヘリタンスカンダラマホテルのレストランの手すりです↓↓
バワの自宅は、建築設計のための実験の場だったと言われていますが、カンダラマの手すりは、ナンバー11と上下が逆さでした!
ナンバー・イレブンでは、残念ながら撮影禁止の箇所が多く、紹介できないのが残念です。
他にも見ごたえの場所はたくさんあります。
個人的には、バワが亡くなった当時のままの寝室にバワの息づかいが感じられ、一番印象に残っています。
ナンバーイレブンの見学方法
原則、月曜~土曜日は10:00~、14:00~、15:30~の3回、完全事前予約制の内部見学ツアー(約40分)が実施されています。
日曜日は10:00~の1回のみです。
入場見学料は1000スリランカ・ルピー(日本円で約700円程度)。
支払いは現金のみ可能です。
建物内部は一度に大人数が入れないため、通常1回の見学ツアーの参加人数は10名前後(最大でも15名程度)。
見学は他の外国人の一般観光客と合同となります。
見学は、直接、Geoffrey Bawa Trust(ジェフリーバワ財団)へ事前予約(英語)が必要です。
見学ツアー中は「作品にさわってはならない」とか「一部を除いて撮影禁止」といった見学ルールや注意事項があります。
また、建物内部のすべてが公開されているわけでなく、一部、見学できない箇所もあります。
※施設側の都合により、開閉館、料金、見学方法は予告なく変わることがあります。実際の訪問、予約にあたっては、公式サイト等で必ず最新情報をご確認の上、お出かけ下さい。
ナンバーイレブン(No.11)の現地ツアー
財団へ直接、英語で予約する方法以外に、ナンバーイレブンを見学する現地オプショナルツアーがあります。
ナンバーイレブンの見学やコロンボ市内の観光など。
ナンバーイレブンなどバワ建築の現地ツアー例
※新型コロナ禍により、ツアー設定や催行は流動的
ジェフリーバワの自宅:ナンバーイレブンでの宿泊
ナンバーイレブンでは宿泊も可能です。特に日本人には人気があるようです。
設備はホステルのように質素で、ホテルのようなサービスはありません。
また、部屋数が少なく(2部屋(それぞれダブルベッドが1つ)+共有のリビングスペース1つ)、大人数で宿泊することはできません。
しかし、バワが使っていた1階のダイニングでの朝食など、宿泊者しかできない体験もあります。
バワの暮らしの一部を追体験し、バワをより身近に感じられることでしょう。
Booking.comなど、一部のホテル予約サイトでは取り扱いがあるようです。
≫ Booking.comでナンバーイレブンを見る
(世界最大のホテル予約専用サイト)
≫ ジェフリーバワ財団へ直接予約(英語)
▲上階へあがる階段の手すり。バワのセンスが光ります。
▲宿泊者用の共有のリビングスペース、宿泊部分はバワの集めたアンティークが充実。
ナンバーイレブン(No.11)の場所、行き方、アクセス
コロンボ市内の中心部にあります。
同じくバワの旧設計事務所であった「パラダイスロード・ギャラリーカフェ(Paradise Road The Gallery Cafe)」、バワのテキスタイルを担当した女性デザイナーが運営するショップ「ベアフット(Barefoot)」が近くにあります。
ナンバー11とあわせて訪問するのもおすすめです。
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