スリランカに行くなら、必ず泊まりたい熱帯建築家・ジェフリーバワのホテル。世界のインフィニティプール発祥の伝説のホテル「ヘリタンス・アフンガラ(アフンガッラ)」の魅力、部屋情報などを書いています。
スリランカ旅行のホテルを検討したり、ジェフリー・バワに興味のある人は是非お役立てください。
ヘリタンス・アフンガラとは?
ヘリタンスアフンガラ(Heritance Ahungalla)は、1979-1981年建造。
バワ設計当時のホテル名(旧名)は「トライトン」ホテルです。
世界の「インフィニティプール」発祥の地。
「インフィニティプール」とは、エッジを水平線のように切ってあり、海や湖を借景に水面が一体化したように見えるプール。
プールのふちに手すりなどの視界を遮るものがなく、目の前に広がる景色と繋がっているように見えるプールのことです。
現在、日本の温泉も含め、世界中のホテルで数多く取り入れられています。
▲世界のインフィニティ・プールの中で最も知られているものの一つがシンガポールの「マリーナベイサンズ」ホテル。
高層ビル群をのぞむ地上200mの天空プールが人気です。
アマンリゾートのもとになった伝説?
インフィニティプールは、ただ「泳ぐための施設」だったスイミングプールが、「リゾートの仕掛け」として発展した、今日のブームの原点です。
ジェフリーバワの建築が語られる際、「アマンリゾート(※)のもとになった」とか「アマンリゾーツの創業者エイドリアン・ゼッカに多大な影響を与えた」と言われます。
(※)アマンリゾート(アマンリゾーツ):東南アジアを中心に欧米や中国などで、部屋数を抑えた贅沢で小規模なリゾートを展開している超高級ホテルチェーン(1泊10万円とか)で、富裕層に支持されている。
しかし、ジェフリー・バワ自身はアマンリゾートのホテルを設計していません。
にもかかわらず、そのように評されるのは、インドネシア、バリ島の「アマンダリ」のプールの存在と言われます。
ヘリタンスアフンガッラの8年後(1989年)に開業したアマンダリは、背景となる自然をふくめた“バリの村”というコンセプトで、背景の緑と水面が一体化して見えるインフィニティ・プールで知られます。
オーストラリア出身の建築家ピーター・ミューラーの設計ですが、オリジナル・アイディアがヘリタンスアフンガッラだったというわけです。
▲アマンリゾーツ「アマンダリ」のインフィニティ・プール(出典:アマンダリ)
バワ建築巡りをするなら絶好のロケーション
バワ研究の第一人者、デイヴィッド・ロブソン氏の「Geoffrey Bawa: The Complete Works」(日本語訳版)によれば、バワが手がけた建築プロジェクトとして、合計約70件が掲載されています。
その中で、バワのホテルは南西海岸、スリランカ屈指のビーチリゾート、ベントータ周辺に集中しています。
ベントータ、カルタラ、アフンガッラ、ワドゥワ、ベルワラといった地域です。
ヘリタンス・アフンガッラは、その中心地とも言える場所に位置し、バワのホテル巡りや必見スポットを訪れる拠点としても利用しやすい場所にあります。
特にバワに関心の強い人に好評なバワの別荘「ルヌガンガ理想郷」、バワに多大な影響を与えた兄、ベヴィスの庭園「ブリーフガーデン」を訪れる拠点として絶好のロケーションです。
ヘリタンスアフンガラ ホテルの特徴と魅力
ヘリタンス・アフンガッラの魅力は、まず、白を基調とした風通しのよりロビーまわりの爽やかさ、インフィニティープールなど、視覚的な美しさではないかと思います。
ホテル内の随所にジェフリー・バワの隠した工夫が見られます。
ヘリタンス・アフンガラのインテリア(内装)
新しいホテルではなく、全体的にはオーソドックスな、定番的な雰囲気です。
しかし、名作建築の落ち着きや色あせることのないオシャレ感、そして居心地の良さが共存しています。
「居心地のよさ」はホテルでは、とても重要です。
ホテルへ到着し、車を降りて、エントランスへ向かいます。
そのときにロビーから見えるインフィニティプールと海の景色が感動的です。
吹き抜けになっています。かっこいいです♪
プールサイドに立つと、水面の先に砂浜が見え、さらにその先に海が続いているのがわかります。
さらにプールの水面からの視線になると、砂浜の線は消え、プールの水面と海が重なって見えてきます。
わりかしシンプルに見えるインテリアですが、ジェフリーバワは視覚効果にすごくこだわっています。
ロビーやプール、回廊の一つ一つがさらに朝、昼、夕、晩では異なる光が当たり、それぞれ違った風情を醸し出しています。
バワは時間帯によって変わる景色、見え方も計算に入れて設計したと言われます。
演出へのもの凄いこだわりが隠されているわけですね!
客室へ上がってゆく階段の白い壁は、描かれたバワの友人芸術家、ラキ・セナナヤケによるスケッチ画です。
開業後、ホテルは改装されていますが、ここはバワのオリジナルが残る空間の一つだそうです。
同じく友人の芸術家ラキ・セナナヤケによる白壁のレリーフ。
椰子の木がモチーフでしょうか?さわやかな白壁に描かれた熱帯を象徴する植物。
ロビーの奥の黒いオブジェは、旧トライトン・ホテルのためにバワが設計したエレベーターです。
工事中は資材の運搬にも使われ、今は、ホテル装飾の一部として、ロビーの壁に残しているとのこと。
バワのシンボルカラー「白と黒」。
幾何学文様が多いバワのホテルで、このような渦巻とか豹柄のように見える文様は、少し珍しいようです。
涼しげな中庭に通ずる空間。その中から空に向かって大木が生えていました。
土地との一体感が感じられます。
ロビーから各部屋に通ずる回廊の横。
ここも吹き抜けになっており、白の内装とあわせって涼しげ。
熱帯モンスーン気候の蒸し暑さの中で、気分だけでも涼しく感じられるのは嬉しいです。
そして、ジェフリーバワの建物の特徴と言えますが、どこを見てもフォトジェニック!写真映えします。
こちらはバワホテル定番の「坪庭(つぼにわ)」。
屋外とつながってる感が良いですね。
機能性(通気性、ゲストの快適性)の良さだけでなく、見た目にも印象が強く残ります。
ヘリタンスアフンガラ、おすすめの部屋タイプは?
部屋のカテゴリー
デラックスルーム(約28~35㎡)/部屋数32
定番の部屋。当ホテルのスタンダードクラスにあたる部屋です。バスタブなし
プレミアムデラックスルーム(約28~35㎡)/部屋数36
デラックスルームとほぼ同じですが、部屋の窓からの景色がより良い部屋です。バスタブなし
ラグジュアリールーム(約43~45㎡)/部屋数15
部屋が広めです。バスタブあり
スイート(約57~65㎡)/部屋数5
ジャグジー付きのバスタブ、リビングがあるスイートルーム
ラグジュアリースイート(約79㎡)/部屋数4
広いバルコニーとリビング、バスタブもある、このホテルで一番贅沢なスイート
デラックス・ルームの様子
この部屋はバワのデザインがオリジナルに近い状態で残っています。
部屋のインテリアはオーソドックスかつシンプルで使いやすいもので、木の感じや家具にもバワらしさが出ています。
特別な場合でない限りは「デラックス」や「プレミアムデラックス」で充分快適に過ごせるように思います。
ただし、バスルーム(浴室)はバスタブ(浴槽)のないシャワーのみのため、長期滞在の場合はバスタブ付きのカテゴリーの検討余地が出てくることでしょう。
部屋のバルコニーからの眺め。
ヘリタンス・アフンガッラのプール
ヘリンタンスアフンガッラにプールは2つあります。
一つがメインの「インフィニティプール」。もう一つは「レジデンツプール」という小さめのプールです。
プールエリアのスタッフに声をかければ、タオル、サンベッド、パラソルはもちろん無料で使うことができます。
▲メインの「インフィニティプール」。午前8時~夜8時まで利用可。
▲メインの「レジデンツプール」。宿泊者専用。午前8時~夜8時まで。
プールサイドのバーではドリンクや軽食を買うことができます。
ヘリタンス・アフンガラのレストラン、カフェ、バー
飲食は、ジュート・レストラン(JUTE RESTAURANT)、アッパールーム・レストラン(UPPER ROOM RESTAURANT)、マスタード・コーヒーショップ(MUSTARD COFFEE)、バー(BARS)の4か所です。
ジュート・レストランは朝食、昼食、夕食。
アッパールーム・レストランは夕食時にオープンし、カフェやアルコール・ラウンジとしても利用されています。
▲アッパールーム・レストラン 出典:ヘリタンスアフンガッラホテル
ヘリタンス・アフンガッラのスパ、アーユルヴェーダ
ヘリタンスアフンガラには2020年現在、ディビアン・スパ(Divian Spa)が入っています。
ディビアン・スパの営業時間
毎日午前10時から午後8時(2020年4月時点、変更の場合あり)
※事前予約が必要です
ネット予約も可能です。
https://www.heritancehotels.com/ahungalla/spa.html
混んでいると希望の時間に施術が受けられないため、予約は、なるべく早めが望ましいとのことでした。
ディビアン スパのメニュー、料金
アーユルヴェーダ的なトリートメントもありますが(本格的なアーユルヴェーダではない)、伝統て的なバリ式マッサージやスウェーデン式、ホットストーンマッサージ、指圧など世界各地の幅広い種類のスパ・トリートメントです。
マッサージセラピー、ボディトリートメント、フェイシャル、ネイルケアなどがあり、いくつかのメニューを組み合わせたパッケージもあります。
トリートメント内容により料金が異なります。
スパの特徴
専門のセラピストがマッサージオイルやハーブコスメティックスなど、天然素材を使用しているそうです。
もしも本格的なアーユルヴェーダを希望の場合、ホテル外のアーユルヴェーダ専門の店を探した方がよいかもしれません。
または、同じヘリタンス系のホテルで、ヘリタンス・アーユルヴェーダというホテルがあります(ヘリタンスアフンガッラの北、バスや車で約1時間)。
ヘリタンス・アーユルヴェーダはアーユルヴェーダの施術を受けたい宿泊者向けのホテルで、通常、(1泊ではアーユルヴェーダの時間が足らないため)2~3泊以上での宿泊のみ宿泊を受け付けてもらえるようです。
ヘリタンス・アーユルヴェーダの場所、地図はこちら
ヘリタンス・アフンガラのディビアンスパの設備
カップル向けの2つのダブル、マニキュア/ペディキュアルーム、スチームルーム、サウナ、屋外ジャクジーがあります。ロッカーとシャワーもあり。
施術前の準備
スチームルームとサウナを利用する場合は、施術開始の30分前には到着が必要です。
スチームルームやサウナを使用しない場合も、開始時間の10分前には到着し、アンケートに記入します。
ヘリタンス・アフンガラの場所、行き方、アクセス
南西沿岸部、ザ・ブルーウォーターのあるワッドゥワと、ジェットウィング・ライトハウスのあるゴールの中間あたりに位置します。
有名観光地のゴール・フォート(世界遺産)までは約40km。車で2時間くらいです。(ゴールまではスピードを出せない道のため、距離に比して時間がかかります)
ジェフリーバワのホテルに限らず、バワの別荘「ルヌガンガ」やバワの兄の邸宅「ブリーフガーデン」などにも近く、バワホテルやバワスポットを訪問する際、便利な拠点です。
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