ヘリタンス・アフンガッラ ~世界に先駆けたインフィニティプール~

スリランカの熱帯建築家、ジェフリーバワの名作ホテルの紹介(3)ヘリタンス・アフンガッラです。

今回、ヘリタンス・アフンガラ(旧トライトンホテル/1981年開業)をご紹介するのは、現在、世界中の多くのホテルがこぞって採用している“インフィニティ・プール”の先がけ、世界で最初につくられたインフィニティ・プールだからです。ただ泳ぐための施設だったスイミングプールが、建築の一部として、リゾートの仕掛けとして発展した原点。それが、ヘリタンス・アフンガッラです。

インフィニティ・プールとは?

インフィニティ・プールは、水盤や外縁を水で覆い、外縁が存在しないかのように見せかけたプールである。「インフィニティ(infinity)」は「無限」を意味し、どこまでも限りないさまを現した表現で、外縁が海などのより大規模な水や空と混じり合い境目がわからないように見えるよう設計される。しばしば異国情緒あふれるリゾーツ、高級ホテル等の贅沢感のある施設の集客目的で作られることが多い。

※引用:ウィキペディアより

簡単に言えば、プールのふちに手すりなどの視界を遮るものがなく、目の前に広がる景色と繋がっているように見えるプールのこと。日本人にもっとも有名なインフィニティ・プールといえば、おそらくは、シンガポールのマリーナベイサンズ・ホテルのものかと思います。

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▲シンガポール「マリーナベイサンズ」ホテル(2011年開業)、地上200mの屋上にあるインフィニティ・プール(カナダ人建築家のモシェ・サフディ設計)。水平線に溶け込むかのようにデザインされたプールは、美しいばかりか、地上200mでのスリル感が話題をよび、ホテル集客の目玉となっている。

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▲見る角度によって、大きく異なる見え方をするのが、インフィニティ・プールの面白さ。プールサイドやプールの中からは水平線のように見えるプールも、実際には、このような安全設計。

アマンリゾーツのもとになった?ジェフリー・バワ建築

ジェフリーバワという建築が語られる際、しばしば「アマンリゾーツ(※)のもとになった」とか「アマンリゾーツの創業者エイドリアン・ゼッカに多大なる影響を与えた」と評されることが少なくありません。
(※)アマンリゾーツ:東南アジアを中心に欧米や中国などで、部屋数を抑えた贅沢で小規模なリゾートを展開しているホテルチェーンで、主に富裕層に支持されている。2014年12月に東京にも進出。
しかし、バワ自身はアマンリゾーツのホテル自体を設計しているわけではありません。にもかかわらず、そのように評される理由の一つは、アマンリゾーツを象徴する存在でもある「アマンダリ」のインフィニティ・プールの存在ではないか、とする説があります。

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▲アマンリゾーツ「アマンダリ」のインフィニティ・プール
※写真出典:アマンダリ(1989年開業/インドネシア・バリ島)

アマンダリは、オーストラリア出身の建築家、ピーター・ミューラー(1927年生まれ)の設計。背景となる自然をふくめた“バリの村”がコンセプトで、背景の緑と水面が一体化するプールが印象的です。このデザインのオリジナル・アイディアが、ジェフリーバワのヘリタンス・アフンガッラだったことから「アマンリゾーツのもとになった」と言われることが多いといいます。

www.aman.com

ヘリタンス・アフンガッラ(Heritance Ahungalla)

ヘリタンス・アフンガッラは、1979-81に建造。旧トライトンホテルがその前身です。客室やレストランは改装されましたが、ロビーから海の一部のように見えるスイミングプールは、旧トライトンホテル当時のまま。

プールサイドに立ってみると、水のエッジの先に砂浜が見え、さらにその先に海が続きます。しかし、実際にプール内へ入り、水面からの視線になると、砂浜の線は消え、プールの水面と海が重なります。

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▲ヘリタンス・アフンガッラのインフィニティ・プール(弊社ツアーにて撮影)

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▲ロビーフロアからインフィニティ・プール、海岸を望む風景

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▲客室へ上がってゆく階段の白い壁に描かれたバワの友人、ラキ・セナナヤケによるスケッチ画。バワのオリジナルが残る空間の一つ。

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▲旧トライトン・ホテルのためにバワが設計したエレベーター。工事中は資材の運搬にも使われていたと言われていますが、現在、ホテル装飾の一部として、ロビーの壁に残されています。

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▲ホテル前、インフィニティ・プール先の海岸沿い。バワ設計のホテルの中にいると、何気ない海岸もドラマチックな光景に見えてきてしまいます。

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▲ヘリタンス・アフンガッラのもう一つのプール「レジデンツ・プール」。水面から見ると、こちらはマングローブが生い茂る川を小舟で進むような光景に見えてきます。緑の樹木が水面にせり出しているため、通称、グリーン・プールとも呼ばれる。

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▲客室は改装されたが、ベッドの両側にあるライトは開業当時のまま。デスクライトにも同じ型のものが使用されている。(弊社ツアーにて撮影)

コロンボ~ゴール間の海岸沿いに集中して点在するバワ設計のホテル

前回ご紹介したスリランカ第2の都市、ゴール(ジェットウィング・ライトハウス)から、バスで約1時間。コロンボ~ゴール間の海岸沿いには、ジェフリーバワが設計したホテルが集中して点在しています。

その一つがヘリタンス・アフンガッラ。スリランカでジェフリーバワ建築を巡る旅は、この地域が中心となります。