熱帯建築家・ジェフリーバワのホテルの最高建築と言われるスリランカのヘリタンスカンダラマホテル。
この記事ではヘリタンス・カンダラマホテルの特徴や部屋選びの注意点などを紹介しています。
もしバワ建築に興味があるようでしたら、是非一度、泊まってみてはいかがでしょうか?
ヘリタンスカンダラマ ホテルとは?
ヘリタンス・カンダラマ(Heritance Kandalama)は1991-94年建造。全156部屋という大きめのホテルです。
鬱蒼とした森(ジャングル)の中にあり、自然と一体化するよう岩山に沿って弧を描くように設計された、特色あるホテル。
ヘリタンス・カンダラマの入口。ホテルがあるように見えませんが、この中がすごいです。
ヘリタンス・カンダラマのホテル案内図。「シギリヤウィング」と「ダンブッラウィング」の2つの客室棟からなり、建物部分の全長は1km。
端から端まであるくと約15分かかります。大きいですね!
客室はシギリヤウィング、ダンブッラウィングそれぞれの2階~7階にあります。
ヘリタンス カンダラマのインテリア・内装
インテリアは土地の自然と一体化しているところが驚きです。
ジェフリーバワの自由な発想が発揮されています。
奇抜でありながら、なぜかとても落ち着くのも不思議です。
入口から中へ進むと、ごつごつとした岩。
右側の白壁は、あえて無機質にきれいに整備した壁。
これは近郊の世界遺産の観光地「シギリアロック」のミラーウォール(下の写真)を模して、そうしたデザインにしたそうです。
ホテルの入口を抜けてロビー(待合スペース)に入ったところ。
チェックイン前のゲストが最初に案内される場所がこちらです。
このフロア(ロビー階)は5階にあたり、この場所を基点として東西にシギリヤウィング、ダンブッラウィングと分かれています。
ロビーやラウンジのインテリアデザイン、椅子などもジェフリーバワが選んでいます。
廊下の真ん中に、まるで人の通行のさえぎるかのような大きな岩。驚きですね!
バワのホテルに多用されている坪庭(つぼにわ)。
一見無駄な空間のように見えますが、採光、通気性、ゲストが感じる心地よさを演出する上で、坪庭は大切なものだそうです。
建物は森林の中。裏手の林では、野生の猿やリスが見られました。
朝は小鳥のさえずりや動物たちの鳴き声で目を覚ますこともあるでしょう。
ヘリタンスカンダラマに滞在していると、自然と共生している空間で、動植物の存在が近くに感じられました。
ビュッフェ・レストラン前のフクロウのオブジェ。
ラキ・セナナヤケというバワの友人芸術家の作品。
ラキのデザインや装飾は、バワ建築のスパイスのような存在です。
ヘリタンスカンダラマの中のバワのお気に入りのスポット。
いつもこの椅子に座りながら、遠くのカンダラマ湖とシギリヤロックを眺めていたと伝えられています。
シギリアウィングの外観。
欧米の建物が「人の暮らしを守るもの=外界や厳しい自然から人間を守る箱」。
バワ建築は「自然と共生し、一体化する空間」と言われています。
ヘリタンス カンダラマの部屋、カテゴリー毎の違い
部屋のカテゴリーが8つほどあり、広さや眺望、バスタブ(浴槽)の有無などが異なります。
ヘリタンスカンダラマには、下から順に以下のカテゴリーがあります。
- スーペリア
- パノラミック
- ラグジュアリー
- デラックス
- スイート
客室は、中央を挟んで左側のシギリヤウィングと右側のダンブッラウィングに分かれています。
中央はレセプションやレストラン、2つのプールなどの公共エリアです。
(クリックで地図が拡大)
ベッドはツインタイプ(2つのベッドが離れている)のものとダブル(大きなベッドマットが1つで離れていない)ものがあります。
スーペリア(ダンブッラウイング2・3・4階)
約18㎡:部屋数52
定番の部屋。当ホテルのスタンダードクラスにあたる部屋。
部屋のサイズは小さめですが、木の温かみを感じさせるコンパクトで使いやすい部屋です。
浴室はシャワーのみ。
窓の外の眺望はツタや森林で、開けた眺望はあまり期待できません。
パノラミック(ダンブッラウイング5・6階)
約18㎡:部屋数22
部屋はスーペリアと同じ仕様(バスタブなし)ですが、窓からの景色が違います。
カンダラマ湖が見えます。上層階を確約したいときにお勧めします。
ラグジュアリー(シーギリヤウイング2~3階)
約23㎡:部屋数30
部屋は概ねスーペリアと同じですが、一番の違いはバスルーム(浴室)にシャワー以外にバスタブ(浴槽)が付いていること。
窓の外のツタや森林の眺望はバワが好んで選んだものです。
その緑豊かさが「森林のホテル」ヘリタンス・カンダラマの名物とも言えます。
2泊以上で、バスタブがほしい場合、この部屋がお勧めできます。
デラックス (シーギリヤウイング4~5階)
約23㎡:部屋数30
部屋のサイズはラグジュアリーと同じですが、より上層階に位置します。
ツタが4~5階まで生い茂っていなければ、遠くまできれいに見えることがあります。
ジャグジーが付き。
なお、ジェフリーバワのお気に入りだったと伝えられるのは「シギリアウィング5階の角部屋、507号室(デラックスルーム)」と言われています。
スイート(ダンブッラウイング・シーギリヤウイング2~5階)
約40㎡:部屋数12
ベッドスペースは上記と同じですが、別途、小さなリビングスペースがつきます。
ラグジュアリーパノラミック(ダンブッラウイング7階)
約57㎡:部屋数3
60㎡近くあり、この部屋の最大の特徴は、ホテルの中でも一番広めのバルコニーが付いていること。
眺望がとても良い部屋。
ラグジュアリースイート(ダンブッラウイング7階)
約67㎡:部屋数2
バルコニーやバスルームを含めた約67㎡の広めのスイート。
ロイヤルスイート(シーギリヤウイング5階)
約120㎡:部屋数1
ヘリタンスカンダラマで最高位の部屋
ヘリタンスカンダラマのラグジュアリー ルーム
おすすめのタイプはバスタブがある点ではラグジュアリー。
さらに眺望を重視ならデラックスです。
現在の客室のインテリアは、バワの愛弟子のチャンナ・ダスワッタがバワのコンセプトを引継いで改装したもの。バワらしさが残っています。
ラグジュアリールームのバスルーム(浴室):バスタブ(浴槽)付き
ヘリタンスカンダラマのスーペリアルーム
バスタブの有無にこだわらなければ、スーペリアルームでも十分快適でした。
ラッキーなことに、たまたま角部屋にあたりました。
バルコニー側以外からの採光があり、部屋がかなり明るく解放感があってよかったです。
なお、この部屋は4階です。まったく同じ部屋の仕様ですが、この部屋より一つ上の階(5階)以上だと「パノラミック・ルーム」のカテゴリーとなるようです。
通常は左側が「壁」と考えたほうがよさそうです。
チェックインの際、空いていれば、角部屋をあてがってもらえることはあるかもしれません。
ダメもとで交渉してみるのも一つの手ですね。
ベッド側からバルコニーを見た。
部屋からの眺望。奥はカンダラマ湖。一部ツタでさえぎられていますが、自然との一体感が感じられます。
夜や明け方もなかなかの雰囲気でした。
バルコニーから部屋をみた様子。
部屋の備品
備品については、どのカテゴリーも同じようです。特に豪華ということではありませんが、過不足なく、快適です。
湯沸かしポットや紅茶、インスタントコーヒーが設置。
スリランカの電圧は240V。(日本は100V)
スリランカのプラグの形状は「BF(平太ピン3本)」や「B3(丸ピン3本)」、ヨーロッパ共通の「Cタイプ(丸ピン2本)」など、いろいろ。
(日本の電源プラグ(Aタイプ)は形状を変えるプラグが必要)
Cタイプは汎用性が高く、スリランカ以外のほとんどの国でも使うことができて便利です。
ミニバー。ホテルの近くにスーパーなどはありませんが(森の中)、飲みものはホテル内のレストランやバーで調達可能です。
スリッパは付いていません。フロントにお願いをしたら、布製のスリッパを持ってきてくれましたが、これは標準装備ではないとのこと。
プールへ行く際は布製のサンダルだと水に濡れて不快です。履きなれたクロックスなどがあれば便利ですね。
バスまわり、アメニティ
バスルーム、洗面台。左奥がシャワー(スーペリアルームはバスタブなしのシャワーのみ)。
窓から林と湖が見えました。猿やリスなどの動物に見られているような気分になるのが不思議に面白かったです。
シャワーブース。シャワーの出口が高いところにあり、自分で動かせないが少し難点。
洗面台。一通りのアメニティが揃っています。ドライヤー、無料のミネラルウォーターはここに。
建造年が1990年代ということで、バスまわりは高級ホテルとしてはシンプルという印象でした。
シャワーブースからバスルームの入口の方向を見たもの。トイレ。
ヘリタンスカンダラマからの観光例(現地ツアー)
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