フランス ル・コルビュジエ

ロンシャンの礼拝堂がすごい!見学情報、図面や行き方も《コルビュジエ建築・世界遺産》

2020年1月2日

ロンシャンの礼拝堂(ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂)ル・コルビュジエ建築|フランス

世界で最も有名な建築家の一人、ル・コルビュジエの最高傑作と言われるロンシャンの礼拝堂。

その特別な形状は、数あるコルビュジエ建築の中でも異彩を放つ存在。

フランス東部の個人では訪問しずらい辺鄙な場所にありますが、ル・コルビュジエの世界遺産建築群の一つ、ロンシャン礼拝堂の情報をまとめました。

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ロンシャンの礼拝堂(世界遺産)の概要と特徴

ロンシャンの礼拝堂は、ル・コルビュジエが生涯で手がけた3つの宗教建築のうち一つ。

(残り2つの宗教建築はラ・トゥーレット修道院、フィルミニのサン・ピエール教会)

正式名は「ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂(Chapelle Notre-Dame-du-Haut, Ronchamp)」と言います。

ノートル・ダムとは、フランス語で「私たちの貴婦人」という意味。

具体的にはイエス・キリストの母、聖母マリアを指し、聖母マリア様の名を借り、捧げた礼拝堂です。

世界遺産に指定されたル・コルビュジエの17の建築プロジェクトの一つです。

ロンシャンの礼拝堂・ビジターセンター内|フランス

▲ロンシャン礼拝堂の敷地の俯瞰図(ビジターセンター内のジオラマ模型)

一番上がロンシャンの礼拝堂。中央部左側が修道院施設。一番下側にはビジターセンター。

 

ロンシャン(地名)の丘の上には、中世から礼拝堂があり、巡礼地の一つ、キリスト教の聖地的な存在でした。

しかし、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの空爆で破壊され、瓦礫となってしまいます。

その後、敬虔な地元のキリスト教徒たちの要請を受けて再建が決まりました。

ル・コルビジエに設計を依頼したのは、神父クチュリエ。

神父アラン・クチュリエ(Marie-Alain Couturier, O.P./1897~1954年) は、信仰(教会)と芸術との融合をめざし、最先端のアーティストたちと手を組んだ先進的な宗教指導者です。

ロンシャン教会は1950年設計が開始され、1955年に完成しました。

同じく神父クチュリエが設計を依頼したラ・トゥーレット修道院の規則的、幾何学的な形状とは、まるで対照的なのが興味深いです。

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ロンシャン礼拝堂の図面、平面図、立体図

ロンシャンの礼拝堂の図面(平面図、PLAN)は、寸法データまで記載されたプランを探すには、結構、苦戦します(あまり良いのがない)。

以下は観光客向けの大雑把なイラスト。各部屋の配置はわかりやすいかと思います。

ロンシャン礼拝堂の見取図(観光用)

外国人建築家が集めた資料には立体図なども含まれ、寸法の記載はなくても比率的には正確に作られていそうです。

いろんなアングルから実寸に近い再現した図面を掲載した2つのサイトを紹介します。

参考になる図面が見つかるかもしれません。

こちらのサイトは建物の平面図や模型に加え、ページの下の方に敷地全体のPLANや断面図、レンゾ・ピアノ設計の新しい修道院の情報が掲載されています。

https://www.inexhibit.com

Ronchamp Chapel©LTL Architects-Princeton Architectural Press

もう一つがこちら。

こちらはスペイン語の建築家向けサイトですが、上のサイトとは違う図面を掲載。

http://hicarquitectura.com

ページの一番下にあるモデュロール(※)に照らした断面図がコルビュジェ的です。

(※)コルビュジエが独自に考案した人物サイズを元にする基準寸法で、コルビュジェの建物の外壁に人間のサイズが描かれていることも多い。

©http://hicarquitectura.com

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ルコルビジェ:ロンシャンの教会外観

ロンシャンの礼拝堂・外観|ル・コルビュジエ建築|フランス

野外にも祭壇が設けられています。

教会のコンクリートの骨組み厚い壁の基盤には、戦争で破壊されたときに残った瓦礫を混ぜて作っているそうです。

過去の歴史や遺産を大切にしつつ、その土地の記憶を建物の中に込めて、次の新しい時代にへ繋いでゆく。

ヨーロッパの人々の考え方がここにも見られます。

ロンシャンの礼拝堂(ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂)|ル・コルビュジエ建築|フランス

蟹の甲羅のような独特な形をした、うねるようなコンクリートの屋根。

それを浮かせるように支える巨大な外壁。

薄い屋根の構造も含め、1950年代には主流になりつつあった「鉄筋コンクリート」が可能にした、自由で彫塑的な造形です。

ロンシャンの礼拝堂・外観|ル・コルビュジエ建築|フランス

壁の一番分厚い部分は3mくらいの厚さだそう。

建物の側面。窓が小さく、形状も不規則。この窓の色ガラスを通した光が礼拝堂内で拡散。

その視覚効果の秘密は、この後の内部の写真でご覧いただけます。

ロンシャンの礼拝堂(ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂)|ル・コルビュジエ建築|フランス

画家ピカソをはじめとして、20世紀前半の絵画などで起こったキュビズムの形状を思い起させるような絵のドア。

ル・コルビュジエは画家出身の建築家。

若き日のコルビュジエは「キュビズム」の超えた次の段階の概念として「ピュリズム」を提唱していました。

ロンシャンの礼拝堂(ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂)|ル・コルビュジエ建築|フランス

筆者のこの建物に対する全体印象は「造形が爆発したかのような形状の礼拝堂」。

音楽的(波打つリズム)かつ芸術的。

当時の建築の最先端技術を取り入れた宗教建築としても革新的だったそう。

ル・コルビュジエが唱えた建築理念と技術、芸術家としての感性が結集した唯一無二に最高傑作と言えます。

ロンシャンの礼拝堂・外観|ル・コルビュジエ建築|フランス

いろいろな部位を眺めていると、まるで「絵のように」見えてきてしまう・・・

ロンシャンの礼拝堂(ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂)|ル・コルビュジエ建築|フランス

ロンシャン礼拝堂の突飛とも言えるデザ インは、ル・コルビュジエ自身も「音響的形態」と称していたそうです。

ロンシャンの礼拝堂(ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂)|ル・コルビュジエ建築|フランス

敷地内にある3つの鐘。

ロンシャン教会の敷地内には修道院もあり、現在も重要なキリスト教の施設として機能している。

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ロンシャンの礼拝堂:内観(内部)

礼拝堂内部には、主祭壇、3つの小祭壇(小礼拝堂)、告解室があります。

内装は、教会らしく白壁のシンプル。

会衆席(信者の席)の椅子は、ル・コルビジエと彫刻を共同制作しているジョセフ・サヴィナによるもの。

ロンシャンの礼拝堂の内部|ル・コルビュジエ建築|フランス

内観はステンドグラスの多用が演出のポイントになっているようです。

壁の多くの穴から色ガラスを通して光が差し込み、それがランダムに拡散してゆきます。

光と影が荘厳で神聖な空間を作り出します。

ロンシャンの礼拝堂の内部(ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂)|ル・コルビュジエ建築|フランス

日本を代表する建築家、安藤忠雄さんは、20歳代の頃、初めてこの礼拝堂を訪れた時のことを以下のように語っています。

あまりの強烈さに、私は1時間といられず、外へ逃げだしました。翌日も同じでした。3日目、やっとその激しさのなかにたたえられた神々しさを感じることができました。それは建築家の計算というよりも、芸術家の無意識の掌から奇跡のように生まれた光の彫刻かと私には思えたのです。

出典:安藤忠雄著『ル・コルビュジエの勇気ある住宅』とんぼの本

この礼拝堂との出会いをきっかけとして、建築家としての志がより強固なものとなったでしょう。

ロンシャンの礼拝堂の内部|ル・コルビュジエ建築|フランス

祭壇のデザインはル・コルビュジェ本人によるものです。

主祭壇の上に聖母マリア戦禍を逃れた聖母マリア像が置かれている。

信者の席からは、後光が指す見え方になります。

ロンシャンの礼拝堂の内部(ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂)|ル・コルビュジエ建築|フランス

祭壇上部のこの聖母子像は、年一度の大祭の際にはぐるりと回転。

屋外の祭壇方面を向く仕掛けとなっているそうです。

ロンシャンの礼拝堂の内部|ル・コルビュジエ建築|フランス

伝統的な教会や礼拝堂の祭壇とは全く異なる内部は、当時も今も画期的なもの。

これを1950年代に受け入れ、礼拝堂を誇りに思い続けているフランス人たちの懐の深さを思います。

ロンシャンの礼拝堂の内部|ル・コルビュジエ建築|フランス

ロンシャンの礼拝堂の内部|ル・コルビュジエ建築|フランス

床の石は、ル・コルビュジエが提唱した基準寸法「モデュロール」によって、割り付けられている。

屋根の内装はコンクリート打ち放し。

ラ・トゥーレット修道院の教会内部もコンクリート打ち放しだが、修道院がシンメトリーな幾何学形状に対し、ロンシャンは曲線を多用した芸術的な線を多用した建築構成が特徴。

ロンシャンの礼拝堂の内部|ル・コルビュジエ建築|フランス

ロンシャンの礼拝堂の内部|ル・コルビュジエ建築|フランス

3つの塔の下に設けられた小祭壇には、トップライトからの光が降り注ぎます。

伝統的なキリスト教建築のステンドグラスから差し込む光と同じように、荘厳で神聖な空間を作り出している。

ロンシャンの礼拝堂の内部|ル・コルビュジエ建築|フランス

ロンシャン礼拝堂は、訪れる時期や天候、時間帯により、バラエティに富んだ見え方がします。

こちらは秋の夕方、日暮れの少し前の時間帯。

ロンシャンの礼拝堂(ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂)|ル・コルビュジエ建築|フランス

ロンシャンの礼拝堂(ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂)|ル・コルビュジエ建築|フランス

ロンシャン礼拝堂は小高い山の上に立ちます。敷地からは360度、周辺の景色を見渡すことができる。

ロンシャンの礼拝堂からの景色(秋)|ル・コルビュジエ建築|フランス

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ロンシャン礼拝堂:レンゾ・ピアノの建物

ロンシャンの礼拝堂・修道院| レンゾ・ピアノ設計| フランス

こちらはロンシャン礼拝堂の敷地内にできた新しい修道院(2011年)の建物。

イタリア人を代表する建築家、レンゾ・ピアノ(Renzo Piano、1937年9月14日 - )による設計です。

レンゾ・ピアノ氏と言えば、日本でも「関西空港の旅客ターミナルビル」や銀座の「エルメス」のビルなどを設計した人としても知られます。

この建物中には今でも修道女たちが、修道院生活を送っています。

(内部は修道院生活者以外、立ち入れない)

ロンシャン礼拝堂の入場見学情報

施設側の都合により、開閉館、料金、見学方法は予告なく変わることがあります。

実際の訪問、予約にあたっては、公式サイトでの最新情報を確認の上、お出かけ下さい。

ロンシャンの礼拝堂・ビジターセンター| レンゾ・ピアノ設計| フランス

上はビジターセンターの写真。

ビジターセンターもイタリア人建築家、レンゾ・ピアノ氏による設計。

ロンシャンの礼拝堂・ビジターセンター| レンゾ・ピアノ設計| フランス

コルビュジエのノベルティ・グッズを入手できる場所はとても限られるため、ここではポストカード等、ロンシャン礼拝堂やル・コルビュジエ関連のグッズ、記念品などが販売されています。(ビジターセンター内にはトイレあり)

営業曜日・時間・料金

営業:1月1日以外

※5月~10月中旬:09:00~19:00
※10月中旬~4月:10:00~17:00
※最終入場の締切時間は、閉館時間の30分前(17時閉館の場合16:30がラストエントリー)

入場料:大人8ユーロ、学生6ユーロ、子供4ユーロ

開閉館などの情報(公式サイト、英語・フランス語)

個人の入場料情報(公式サイト)

団体の場合、事前予約が必須:団体の入場予約情報(公式サイト)

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ロンシャン礼拝堂の場所、行き方、アクセス

所在地:Colline Notre-Dame du Haut, - 13 Rue de la Chapelle, 70250 Ronchamp, フランス

在来線「ロンシャン駅(Gare de Ronchamp)」から約2km/徒歩約30分

または

国鉄SNCF(TGVなど)「べルフォール駅(Gare de Belfort)」より約22km(車で約30~40分)

 

ロンシャン礼拝堂への行き方:パリから日帰りを想定の場合

※パリ市内⇔ベルフォール駅(TGVで片道で約2時間半)

ベルフォール駅で列車を乗り換え、ロンシャン駅(無人駅)まで在来線列車で約20分。

※ロンシャン駅(無人)からはバスまたは徒歩

(徒歩がおすすめ/徒歩の場合、礼拝堂に近づくと、丘の上に向かって山道のような坂を登ります。巡礼者の気分が味わえる)

※ベルフォール駅ではタクシーが少し停まっていることもありますが、時間帯やタクシーが出はらっている場合、列車やバスでロンシャンへ向かう方法がおすすめ。

※フランス国鉄SNCFサイト https://www.sncf.com/en

 

ロンシャンの礼拝堂:関連情報

ロンシャン礼拝堂 公式サイト

ル・コルビュジエ財団サイト

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ロンシャンの礼拝堂の内部|ル・コルビュジエ建築|フランス
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