ラ・トゥーレット修道院が断然おすすめ!見学宿泊記【コルビュジエ体験】

建築家ル・コルビュジエが設計した“音と光の宗教建築”ラ:トゥーレット修道院。

コルビュジエに関心がある人が貴重な体験をできるおすすめの場所です。

ラトゥーレット修道院の概要、見学や宿泊体験などの情報をまとめてご紹介。

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ラ・トゥーレット修道院の概要

ラ・トゥーレット修道院(Couvent de la Tourette)は、フランスのリヨン郊外、エヴー(Eveux)という町の森の中にあるカトリックのドミニコ会の修道院。

聖母マリアを称えて献堂され、「聖母マリアのラ・トゥーレット修道院(Couvent Sainte-Marie de La Tourette)」とも称されます。

ロンシャンの礼拝堂の設計を依頼したクチュリエ神父からの依頼により、1953年に設計。1956年着工し、1960年に竣工しました。

丘の斜面に沿うように建つ外観は、禁欲的で垂直と水平の直線だけの矩形としてデザインされ、斜面の力を利用した力強い建築として知られています。

ラ・トゥーレット修道院は、ロンシャン礼拝堂とユニテ・ダビタシオン(集合住宅)での経験を生かし、それらを統括して作り上げた作品。ル・コルビュジエ建築の叡智が結集した、最高傑作の一つと言えます。

現在、修道会と公共イベントやカンファレンス・センターとして活用されています。

外観

ピロティで持ち上げられた5階建て構造。敷地が急な斜面のため、もっとも高い東側(写真右側)に入口を置き、入口のフロアが3階にあたります。

3階のフロアは「知的生活が営まれる場」として、2階は「共同生活が営まれる場」、4階、5階は宿泊部屋のあるフロアとなっています。

ル・コルビュジエを代表する宗教建築「ロンシャン礼拝堂」の自由な曲線を使った外観とは対照的です。

▲東側の入口部分(写真右下)。上部のバルコニーは4、5階部分の宿泊部屋の窓。

ピロティは全体のボリュームに対して、個々の脚は細く、数が多くあります。

斜めのアーチ状の形をしているものもあり、中庭に入ると樹木に囲まれ、まるで森を見上げるところに修道院が建っているような印象を受けます。

中庭の景色。コルビュジエがラ・トゥーレット修道院を設計した際に参考にしたと言われるル・トロネ修道院の形状を想起させます。

ラ・トゥーレット修道院の設計には、建築と数学とを学び、後に現代音楽の作曲家として名を挙げたヤニス・クセナキスがコルビュジェの弟子として参画しています。

クセナキスは、ガラスの壁を音楽の譜に見立て、窓の格子の幅は楽譜のような不規則な配分とし、音楽のリズムを感じさせるようなものとなっています。

院内の様子

客間(上下の写真)。以前は修道士の勉強室として使われていたとのこと。

この部屋を見ると、ル・コルビュジェの唱えた「近代建築の五原則」の中の「自由な平面と側面」を作り出す梁と柱の構造が見て取れます。

客間に置いてある椅子。

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修道院内の教会

上の写真は聖堂(教会)へ通ずるスペース。

アトリウムから聖堂側を見ても、そこが聖堂(教会)だとは気づかないほどにシンプルな外観。

このシンプルさは、装飾は内側に宿る本質を忘れさせてしまう危険があるからだという。

聖堂(教会)から外側を見た。回転式ドアはまさにル・コルビュジエならではのアイディアだ。

聖堂内の祭壇。

どこを切り取っても、シンプルな量感と光の動きが見逃せない。カラースポットを通して入り込む光の動き。

一日の時間が過ぎるにつれ、また、季節が移り変わるにつれ、おのスポットからの光によって、教会の内部空間は、さまざまな立体感のある形と色を帯びて、特別な空間を生み出すようになっています。

この後、19時~のミサに参加した。修道士が6~7名。

外国人も参加は可能。しかし、ミサ中の写真撮影と私語は厳禁。

ミサでは1人の修道士が聖書の言葉を読み上げ、6~7名の修道士たちもそれに呼応する。

その後に7~8分の讃美歌が始まりました。

この時の修道士たちの歌声とホール全体に響きわたる何重ものエコーがなんとも言えないほどに素晴らしかった。

聖歌の残響は、歌が終わってもしばらく鳴りつづきます。

地下礼拝堂(上下の写真)にある赤、黒、白に塗られている「光の大砲」は、それぞれ異なる方向に向かっています。

ここからさし込む光は、聖堂の祭壇部分にまで届いているのです。

「光の大砲(上下の写真)」。この光の現場で感じる迫力、力強さは、言葉では表せないものです。

まさに大砲のような大胆さと斬新さを兼ね揃えた設計です。

宿泊・修道院生活を追体験

4階、5階の宿泊エリアは極限にまでシンプル。

エレベーターはなく、3階の入口から荷物を持って階段を上がります。

スーツケースも自分で持ち運ばなければなりません!

館内は電気照明は、廊下のところどころにある電灯スイッチを押すと点灯し、明るくなります。

その電気照明も、2~3分で自動で消える仕組みになっています。

日が暮れて薄暗い館内を歩くときは、電灯スイッチの場所を探すのに少し苦労しますが、目が慣れれば問題なし。

「修道院の中では、どの場所であっても、大きな声で話したり、叫んだりしてはいけない」と管理をする修道士に厳しく諭されました。

静粛を守りながら滞在することが修道士の生活への配慮、エチケットとして、訪問者へ義務づけられています。

部屋の内部。家具やベッドの備え付けが左右の違いはあれ、どの部屋も同じ構造です。

ル・コルビュジエが独自に編み出した基準寸法「モデュロールによって」設計されています。

部屋は狭く、何もない。しかしながら、なぜかそのシンプルの極みがとても快適で、爽やかな気分になるのが不思議です。

各部屋に備え付けのクローゼットと洗面所。

トイレとバス(浴室)は各部屋にはなく、同じフロアに2か所ある共同トイレ兼シャワーを利用する。

夕食の時間。修道士たちの生活を乱さないためにも時間厳守。

食事をいただく前に、ここで暮らす修道士とともに、食堂にいる宿泊者全員が一緒に祈りを捧げます。

前菜(アボカド、トマト、トウモロコシのサラダ)、パン生地の野菜煮(ジャガイモ人参、グリーンピース、インゲン)、西洋梨。

食事はベジタリアン。赤ワインと煮沸した水が提供されるが、それ以上のドリンク・オプションはない。

ここはホテルではないのだから。それも納得・・・。

宿泊の感想

決して快適な部屋、設備とは言えないにも関わらず、マルセイユの「ユニテ・ダビタシオン」と並び、ここでの宿泊が最も印象的でした。

今回は夕方、暗くなる前の直前に到着し、比較的、朝早い時間帯に次の場所へ向けて修道院を出発しましたが、この修道院は長い時間滞在すればするほど、発見が生まれるように思えます。

特に時間帯によって異なる光は、修道院の外観、中庭、内部、聖堂(教会)に、それぞれに異なった表情を作り出します。

聖堂(教会)内の音響も、素晴らしいものでした。

残響が長く、修道士たちの言葉や歌が一層、神聖なものに感じられました。

聖堂内の迫力のある光の使い方(光の大砲)にも感銘

ル・コルビュジエの大胆さと斬新がとても強く出ている空間です。

≪ラ・トゥーレット修道院に泊まるツアーの一例≫
フランス、スイス ル・コルビュジエ建築をじっくり味わう旅 8日間

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入場見学情報

施設側の都合により、開閉館、料金、見学方法は予告なく変わることがあります。

実際の訪問、予約にあたっては、下記の公式サイト等で必ず最新情報をご確認の上、お出かけ下さい。

宿泊者のチェックインの締切時間

修道士さんたちの生活に支障をきたさないよう、到着時間は厳守となっています。

16:30(遅くとも17:00、17:30に施錠されます)

朝食:07:45~、夕食:19:30~(食事時間も厳守)

ミサ:08:00~、19:00~(約20~30分):その時々で異なるため、修道士に要確認

館内の見学

自由見学(日本語リーフレット)

宿泊者はチェックインの際、修道士へ申し出れば、日本語リーフレットがもらえます。

ガイドツアーでなくとも、ほとんどのことはこのリーフレットに記載されています。

自分のペースで見学できますが、建物内は立ち入れる場所とそうでない場所、立ち入れる時間帯等が厳しく決めっており、それに従う必要があります。

館内のガイドツアー

日曜日の14:30~16:30頃(個人旅行者向け)。

※料金:8ユーロ/ 5ユーロ(失業者、学生)/無料(12歳未満)事前予約不要。

※オーディオガイド(ダウンロード) http://www.zevisit.com/tourisme/eveux

団体で館内のガイド付きツアーを希望の場合

以下のページでメールにて事前予約が必要(ただし、最終は15:30)

http://www.couventdelatourette.fr/visiting-us/guided-tours.html

※団体の見学ツアーの受け入れを中止している可能性あり

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場所、アクセス

ラ・トゥーレット修道院は、フランスの第3の都市リヨンの北西、約28kmのあたり。エヴー(Eveux)という町の外れ、森の中にあります。

リヨン中央駅から地方鉄道でラルブレル下車。エヴー(Éveux)経由で約2.5kmの場所にあります。

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関連情報

ル・トロネ修道院/Abbaye du Thoronet

ラ・トゥーレット修道院を設計する際に参考にした12世紀のロマネスク様式の修道院。

http://www.le-thoronet.fr/en/

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