近代建築の巨匠、ル・コルビュジエ。パリに近現代建築のはじまりとも言える一つの邸宅「ラ・ロシュ=ジャンヌレ邸」が残ります。
2塔つづきの白い建物は、のちにル・コルビュジエの代名詞ともなった近代建築の五原則を最初に実践した場。
近現代建築はじまりの地という点で、建築に関心のある人は必見!!
早速紹介します。
ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸(パリ)の概要
【世界遺産】ラ・ロッシュ・ジャンヌレ邸(Maisons La Roche et Jeanneret)
工期:1923~1925年
絵画コレクターのラウル・ラ・ロシュ氏と、ル・コルビジエのいとこ、アルベール・ジャンヌレ夫妻のために造った2棟つづきの住宅。
現在、ジャンヌレ邸はル・コルビュジエ財団本部の事務局・資料室となっていて、見学できるのは外観のみ。
ラ・ロシュ邸は内部を見学できます。
ル・コルビジェの「近代建築5原則(水平連続窓、屋上庭園、ピロティ、自由な平面、自由な立面)」を最初に完全実現したこの2つの邸宅。
後に完成した有名なサヴォア邸が「近代建築5原則を完全実現した完成形」だとすれば、このラ・ロシュ=ジャンヌレ邸は、「その建築的な試みを最初に実現してみた場」と言えます。
その意味では、近代建築のはじまりを告げた家と言えます。
下の写真はラ・ロシュ邸のプラン。
ラ・ロッシュ邸は、吹き抜けの大きな玄関ホールを中心に階段、ブリッジ、見下ろし台などが配されています。
ラ ロッシュ=ジャンヌレ邸の外観
この住宅では様々な試みがなされましたが、初めてピロティが実現されたのもここです。
ギャラリー棟が持上げられ、建物が浮き上がっているように見えます。
1900年代の前半に鉄筋コンクリート製の細い柱が実用化されため、実現できました。
(今日、ピロティの構造は一般的なものですが、ここが始まりの場所)
ラ・ロシュ邸の入口。
数名(常駐は2名)のスタッフが勤務しています。
財団運営の資金源は、主に本の著作権、コルビュジェ(弟子たち)がデザインした家具の復刻版(レプリカ販売)の販売許可料(ロイヤリティ)など。
寄付は少なく、資金は潤沢ではない模様。
ル コルビジェ:ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸の内観(内部)
ラ・ロッシュ氏のコレクションを展示してみせるためのギャラリー部分。
湾曲した壁沿いにスロープは「建築的プロムナード」として知られている部分。
ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸の平面は、幾何学的に整理された構図の中で、いくつもの線が重なり合いながら、線が連綿とつながっていく構成となっています。
それは画家出身のルコルビュジエのの絵画作品の表現と通じるものがあります。
この住宅は、ルコルビジエによる「住宅構成の4つの型」の第一番目に挙げられ、「各構成部分が、その有機的構成理由に従って、他の部分に隣接する」、「内部が自ずから広がり、その結果として外部が決定される」という手法で構成されているそうです。
外観的にも異彩をはなったラ・ロシュ邸。
スマートで幾何学、規則的な形状は、当時のパリの標準的だった8~19世紀の古典派様式を中心とする建造物とは大きく異なるものでした。
ラロッシュ=ジャンヌレ邸:入場見学情報
施設側の都合により、開閉館、料金、見学方法は予告なく変わることがあります。
実際の訪問、予約にあたっては、下記の公式サイト等で必ず最新情報を確認の上、お出かけ下さい。
営業曜日・時間・料金
見学できるのはラ・ロシュ邸のみ。
月曜:13:30-18:00
火~金曜 : 10:00-12:30 and 13:30-18:00
土曜 : 10:00-18:00
日曜日、祝祭日は閉館
そのほか、臨時で休みとなる場合があるため、随時、財団公式サイトでの確認が必要です。
ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸(パリ)の場所、行き方、アクセス
所在地:10, square du Docteur Blanche 75016 Paris
(Entrée par le 55, rue du Docteur Blanche)
メトロ:9号線「Jasmin」または
9号線・10号線「Michel-Ange Auteuil」下車
バス:52番系統「Mozart – La Fontaine」下車
または、PC1「Suchet - Raffet」下車
関連サイト:パリの路線バス / フランス国鉄SNCF
ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸:関連情報
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