「建築の日本:その遺伝子がもたらすもの」森美術館

六本木ヒルズの森美術館で開催されている「建築の日本」展(会期:~9月17日まで)へ行ってきました。

平日にもかかわらず、来場者がひっきりなしで、特に外国人の比率、20才前後の大学生とみられる入場者の割合が多かったことも印象的です。幅広い層で日本建築への関心が高まっていることをうかがわせました。

展示は、古くは縄文時代の住居から最新の現代建築まで、100プロジェクトを総数400点を超える展示資料で紹介されています。それらは9つのテーマに分かれた各部屋を、そこそこしっかり見て1時間くらいはかかり、ミュージアムショップなどを含め、結局、2時間くらい長居しました。

一般的な写真パネルでの解説以外にも、会津さざえ堂、出雲大社本殿の木製模型、千利休の茶室「待庵」の原寸大の復元、丹下健三さん自邸の巨大模型、実物の近代名作家具に座れるラウンジスペースなどがあり、飽きない構成になっています。

この展示会は「建築の日本:その遺伝子がもたらすもの」というメインタイトルに「世界が魅せられた日本建築、その本質に迫る!」というサブタイトルがついています。つまり、世界で注目されている日本建築の本質にせまり、日本建築が各国建築にあたえた影響、それが広がっていった過程やキーマン(建築家)についてスポットがあてられています。

私が一番印象に残った展示は「8.発見された日本」です。

ル・コルビュジエやフランク・ロイド・ライトなどに代表されるモダニズムの巨匠たちも、日本建築の素晴らしさを気づき、称えています。丹下健三、谷口吉生、安藤忠雄、妹島和世など多くの日本人建築家たちが国際的に高い評価を得ているのは、古代からの豊かな伝統を礎とした日本建築をバックグランドとして、活躍してきたからということでしょうか。

ル・コルビュジエの大切な理論である標準化と規格化について、当時私たちはまだ実現できていなかった。しかし、日本家屋にはそれが当然のように行われているのを目にすることができた。(フランスの建築家・デザイナー:シャルロット・ペリアン)

私は昔の日本の住まいが私自身が作り上げようとしていた近代的な標準化の完全な例であることを知った。(フランク・ロイド・ライト:2000年「ライト自伝-ある芸術の展開」)

祖先への郷愁としてではなく、むしろ輝かしい構想力にみちた現代的な象徴として、民家を保存すべきである。(伊藤ていじ:1963年「民家は生きていた」)

今回の展示はすべての展示に英訳が併記されていて、外国人にも楽しめるようになっています。

興味深い展覧会カタログ(図録)は7月下旬に販売開始されました。

展覧会カタログにも英訳がついているそうで、ミュージアムショップには、外国人が国際郵便で予約注文できるよう海外送付用の宅配伝票が置いてありました。

そして、博物館員さんの話によれば、この「建築の日本」展のカタログ(税込3,672円)は一般の書店でも販売予定があるとの話。待ち遠しいです。

展覧会カタログは先の楽しみということにして、この展示会の監修もつとめた建築家、建築史家の藤森照信さんの新刊『藤森照信の建築探偵浪漫記』、日建設計の山梨知彦さんの『名建築の条件』をミュージアムショップで買って、美術館を後にしました。

最後に。

▼公式サイトに、展示会の詳細をもう少し専門的に書いてありましたので、ご紹介です▼

▲展示構成(構成の具体的なことは、以下のサイトでも見られます)https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/japaninarchitecture/03/index.html

▲2015年ミラノ博覧会・日本館で使った木組みインフィニティ

▲千利休 茶室 国宝「待庵」原寸大模型/わずか二畳の芸術的「わび」の空間

▲丹下健三氏 自邸模型▼

▲モダニズムの名作家具で構成されたブックラウンジ
丹下健三研究室《香川県庁舎執務室間仕切り棚》1955-58年 ほか

藤森照信さん『建築探偵放浪記』は40年間以上をかけて訪れた世界各国と日本の建築を独自の視点で語っておられます。特にその建築が造られた社会的、文化的、宗教的、歴史的背景を語られているのが、旅行企画の際にも役立ちそうです。

山梨知彦さんの『名建築の条件』は、日経アーキテクチャの連載記事の中の20建築を取り上げて解説した総集編的な内容。一流の設計会社としての視点がとても新鮮で勉強になりそうです。