フィンランド アルヴァ・アアルト

ヘルシンキで見られるアアルト建築 おすすめ7選:自邸やアトリエ等

北欧を代表する建築家、アルヴァ・アアルトの建築やインテリアデザインを多く残るのがフィンランドのヘルシンキ。

ヘルシンキにあるアアルトの代表的なプロジェクト8か所をまとめました。

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ヘルシンキ アアルト建築マップ

ヘルシンキ以外も含めたフィンランド全体のアアルト建築は、以下をどうぞ。

アアルトのアトリエ(スタジオ・設計事務所),ヘルシンキ(フィンランド)
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北欧を代表する建築家、アルヴァ・アアルトが生涯で手がけたプロジェクトは、フィンランドを中心に、エストニア、ロシア、ドイツ、フランス、イタリア、スイスにわたります。 その中でもアアルト建築の大部分が見ら ...

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アアルトの自邸

アアルトハウス、アアルトの自宅兼事務所。

1934年アイノとアルヴァ・アアルトはヘルシンキの中心部の北西約6km、ムンキニエミ地区(Munkiniemi)地区のリーヒティエ通り(Riihitie)の自然豊かな場所に土地を購入。

アールトの自宅兼事務所は、アルヴァの妻アイノの二人で設計し、1936年に完成しました。

夫妻は自然の素材を使い、シンプルなデザインにする事で、モダン建築をソフトに表現。様々な素材や工法を試しました。

道り側の外観は質素にデザインされ、閉鎖的に見えますが、庭や開放的な室内は手の込んだ作りとなっています。仕事場とプライベート空間では使用する素材を変え、2つの空間を分けています。

アールト自邸の外装はレンガ表面を漆喰で仕上げられ、窓の配置からは機能主義の考え方が取り入れていることがわかります。居住スペースの外装には薄く塗装された小割りの板が使われ、建物の屋根は平らで南に面した大きなテラスが設けられています。

この自宅兼事務所は、1955年、ティーリマキ通り(Tiilimäki)に新しいアトリエが完成するまで設計事務所として使われました。

アルヴァ・アアルトは1976年に亡くなるまでこの家で暮らし、その後は後妻のエリッサ、そして彼の親族が住んでいました。現在は、アアルト・アアルト財団により管理され、自邸内にはミュージアムショップがあります。

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アアルトのアトリエ

アアルトのアトリエ(設計事務所)はヘルシンキのムンキニエミ地区(Munkkiniemi)、アールトの自邸兼旧設計事務所から約500mの徒歩圏内にあります。

アルヴァ・アアルトは、

建築芸術は、いわゆる事務所的な環境では生まれない。

と語りました。

設計事務所には、自由な形のアトリエと自然光の差し込む製図スペースを設計し、円形劇場のような形で中庭を囲っています。

アアルトのアトリエ(スタジオ・設計事務所),ヘルシンキ(フィンランド)

1955年、敷地の傾斜を活かして建てられたアールトのアトリエには、パイミオチェア、スツール60、アルテックの名作椅子やテーブルが配置。アアルトがデザインした照明、曲げ木のサンプル、建築模型や図面も展示されています。

現在この建物は、アルヴァ・アアルト財団の本部オフィスとして使用されています。

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アカデミア書店(カフェアアルト)

キリヤタロ(Kirjatalo)はフィンランド語でBook House(書店ビル)を意味する言葉。

1969年にアカデミア書店(Akateeminen Kirjakauppa)がこのビルに移転し、現在でも以前と変わらず書店として営業しています。

1961年から1962年にかけて主催された建築設計のコンペティションで、アアルトは同じ区画にあるラウタタロ(鉄鋼業者協同組合ビル)と連動させたアイデアでコンペを勝ち取りました。

アアルト建築:アカデミア書店

1969年、アアルトが設計。ポホヨイ・エスプラナーディ通りのストックマン・デパートの向かいにあるフィンランド最大の本屋。

内装は白い大理石の壁で覆われ、三層吹き抜けの開放的な空間。天井にはクリスタル・スカイライトが並んでいます。天窓から降り注ぐ自然光は、冬の日照時間が短いフィンランドで少しでもあかりをとり入れるための工夫。

天井は波のようにゆるやかなカーブを描いたデザイン。

この書店にいると、アアルトが意図した光と波に、あたたかく包まれるような錯覚すらしてきます。

カフェアールト

6階建てのビルの2階には、映画『かもめ食堂(2005年)』のロケ地となったカフェ アアルト(Cafe Aalto)があります。

カフェアアルトの大理石のテーブル、レザーチェア、ゴールデンベル(Golden Bell)と呼ばれるペンダントライトもアアルトがデザインしたものです。

アアルト家具の一部は、元々は近くのラウタタロ(アアルト設計)のカフェが使用されていたものです。

長年、日本人に人気があり、2019年12月には京都のマヤホテルにカフェアアルトの2号店がオープンしました。

 

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  • アカデミア書店(カフェ・アアルト)
    Kirjatalo(キリヤタロ)=書店ビルの意味
    Academic Bookstore(CAFE AALTO)
    現地語:Akateeminen Kirjakauppa
  • 所在地:Keskuskatu 1, Pohjoisesplanadi 39, 00100 Helsinki
  • 関連サイト
    アカデミア書店:公式
    カフェアアルト:公式
  • 営業時間:書店カフェ
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ラウタタロ(鉄鋼業者協同組合ビル)

ラウタタロ(上のインスタ写真の左側の建物)はフィンランド語で「鉄の家」の意。

1955年、鉄鋼業者協同組合ビルとして建設されたため、通称「鉄の家」と呼ばれるが、現在は所有者が変わり、オフィスビルとなっています。

ビジネスビルの内部は細部にまでこだわって設計され、隣にあるエリエル・サーリネン(Eliel Saarinen)が1920年に設計した建物との調和を考え、通り側のファサードには銅板を用いています。

建物のメインとなるのは大きな光のあたる空間。床面にはカッラーラの白い大理石が使われ、「大理石の庭」と呼ばれる。

下のフロアーには店舗があり、オフィスフロアーは吹き抜けとなっており、天窓から大理石の庭に光が差し込む様子は地中海沿岸の国のような建築です。

メインとなる光のあたる空間(大理石の庭)はカフェとして一般の方が利用できるようになっています。

レストラン「サヴォイ」

レストラン・サヴォイ(Ravintola Savoy)は、ヘルシンキのブランド店や百貨店が建ち並ぶ一等地、エスプラナディ通り沿いの建物の8階、有名な老舗の高級レストランです。

サヴォイレストランは1937年にオープン。オフィスビルの7、8階をレストランとパーティー用スペースとして、アルヴァ・アアルトと妻アイノがデザインを担当しました。

レストランのテラスからは公園の向こうに街の中心が見える景色が広がります。

カーテンや食器などに合わせてインテリア全体がデザインされ、室内ではアイノがデザインしたクラブチェアー、アアルトのゴールデンベル611チェアティーワゴンなど、アアルト家具の宝庫とも言えるインテリアの数々が。

アアルトの代表作の1つでサヴォイベース(花瓶)は、このレストラン(サヴォイ)のためにデザインされたものです。

レストラン・サヴォイは1937年の内装を今もそのまま残した、落ち着きのある上品な空間での食事は、フィンランドの伝統と洗練されたモダンさをミックスしたメニュー。

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ヘルシンキ・エネルギー社ビル(電力会社ビル)

当初はヘルシンキ市エネルギー発電所として1965年に設計が始まり、1973年に完成しました。

現在は、ヘルシンキ・エネルギー社のオフィスビルとなっています。

1961年から始まったアアルトのヘルシンキ中心部の都市計画案によるもので、フィンランディアホールとともに、唯一実現した建物です。

建物の外壁はプリーツ状の銅板が使用され、その部分に使われている照明は1990年代のものです。

建物の内部の壁はアアルトによりデザインされた白と濃紺の艶のあるポール状のタイルが使われています。これらは、アラビア社(Arabia)による手作りタイルです。

 

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オリジナルの内装は、全てアアルト設計事務所が手掛けたもので、彼のスタイルである建物全体を芸術作品としているのがわかります。年月が経つにつれ、内装は使用者によって変わりましたが、一部はオリジナル同様に修復され、残されています。

エネルギー社ビルは現在、カンピのショッピングセンターの一部となっており、これらの建物が繋がる地下通路が作られました。その後、エネルギー社ビルの中心であったカスタマーサービスホールはカフェ「Roberts Coffee」となっています。

フィンランディアホール

フィンランディアホール(Finlandia-talo)は、ヘルシンキ中心部の会議場、コンサートホールとして、1971年に建てられました。

フィンランディアホールは、アアルトが1960年代に設計したヘルシンキ中心部の都市計画案の一部です。

外壁と内壁には大理石が用いられ、アアルトが地中海諸国の文化からも影響を受けていたことの表れと言われます。

内装デザインは、アアルト設計事務所のインテリアデザイナーである ピルッコ・ソデルマン(Pirkko Söderman)と建築家でアアルトの妻であるエリッサ・アアルト(Elissa Aalto)が担当。

家具類や照明器具は建物全体の統一感を大切にしてデザインされています。

 

-フィンランド, アルヴァ・アアルト

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